ハイタッチは英語で何と言う?知っておくべきハイタッチの本当の意味

ハイタッチの2つのイメージ

「ハイタッチ」ということばを聞くと、2つの異なるイメージが思い浮ぶ。
ひとつはアメリカ人が「ハイターチ」と発音する時のイメージだ。それは日本企業の「日立」のことである。

日立製品はアメリカにも普及しているので、「日立」という社名を知らない人はほとんどいない。でも”Hitachi”という社名の元々の発音を教えられていない人は、無意識的に英語の発音ルールの影響を受けてほぼ例外なく「ハイターチ」と発音してしまう。
ついでながらアメリカでは「トヨタ”Toyota”」は「タヨウタ」に、そして「ホンダ”Honda”」は「ハンダ」と発音される。

「ハイタッチ」のもう一つのイメージは、スポーツなどで何かうまくいった時に、チームメートや相棒同志が手の平を開いた状態で高く上げ、互いにタッチをする光景だ。
互いに手の平を高く(high)あげて触れる(touch)ので、「ハイタッチ」はまさにそのような行為を指す英語の表現だと誰しもが確信し、疑いの余地が無いようだ。


でもハイタッチをするのは日本人だけだと言ったらウソに聞こえるだろうか。
実際テレビでスポーツニュースなどを見ていると、どこの国の人達も皆同じようにハイタッチする光景が映し出される。

では世界の中で日本人だけがハイタッチをするとはどういう意味だろうか?

ハイタッチはhigh touch ではない

実は英語の”high touch”は日本で使われている「ハイタッチ」とは意味が全然違う。
「ハイタッチ」は”high touch”をカタカナ表記にしたものであるが、”high touch”の本来の意味からあまりにもかけ離れてしまっている。

おそらく日本人の誰かが、2人の人が手を高く(high)上げ、互いの手をたたきつけるように触れる(touch)光景を見て、「ハイタッチ」という日本独自の表現を作り出したのだろう。

和製英語のタイプ

和製英語には次のような6つのタイプがある。

1.英語として全く使い道がない
2.日本語と英語の合成語
3.発音が本来の英語からかけ離れている
4.本来の英語の意味からずれているか、全く異なる意味を持つ
5.品詞(動名詞とか過去分詞 etc)の使われ方が本来の英語とは異なる
6.元の英語と同じ意味であると勘違いされている和製英語

和製英語である「ハイタッチ」は、タイプ4.になる。

high tech のマイナス要因

実は”high touch”は”high tech”の反意語として使われ始めた表現で、日本で言う「ハイタッチ」とは意味が全く異なる。

“high tech”は正式には”high technology”で、コンピューターのような電子機器を使って機械などを自動操作する高度な技術を意味する。
このオートメーション技術により、人の手作業による労働が大幅に削減されるようになった。

でも“high tech”は人の労働を排除するため、人の存在価値が見失われてしまう危険性をはらんでいる。

high-tech

high tech とhigh touch のバランス

“high tech”は便利な反面、人間不在という大きな社会問題を抱えているので、自動化社会の中で人間性を取り戻す発想が生まれて来た。
それが”high touch”である。”tech(技術)”に対して”touch(触れる)”が使われるのは、「人が直接何かに触れる」という考えからだ。”high tech”が”digital”であるのに対し、”high touch”は”analogue”ということになる。

このように”high touch” はあくまでも “high tech”の反意語なので、「ハイタッチ」を高く上げた手の平を互いに触れるという意味で使うことは出来ない。

high-touch

ハイタッチは英語で何と言う?

「ハイタッチ」する時、手を握ったままでする人はほとんどいない。
大抵の場合手を開いた状態、すなわちジャンケンの「パー」の形を保った状態で、互いに触れ合う。

手の平が「パー」の形の場合、5本の指(five fingers)は全て見える状態になっている。それで英語では手を開いた状態の時に見える5本の指を意識し、”five”と言う単語を使う。そして手を高く(high)上げて、互いの”five”を触れ合うので、その行為を”high five”と言う。

海外のスポーツ実況を英語で聞いてみる機会があれば、スポーツキャスターが”high five”ということばでハイタッチを表現していることがわかるであろう。

「ハイタッチをしてくれ」という言いたい場合は”Give me five!” となる。


この”high five”と言う英語の表現の歴史はかなり浅く、約40年前から使われ始めたようだ。

この記事の監修・執筆者
英語スピーキング教材YouCanSpeak、英語リスニング教材YouCanListen開発者
同時両方向通訳者/ 同時通訳セミナー講師。文学博士。NHK ラジオ・TV「Dr. Kinoshitaのおもしろ英語塾」教授等、各メディアで活躍

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